京浜工業地帯の一角の老舗工場を訪ねて

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今日は川崎の京浜工業団地内にある京浜スチール工業(株)の比嘉社長の下にお邪魔しております。既に外国人の方を雇用しているという情報を聞きつけて、当社社長の伊藤と私当麻の突撃レポートです。

【伊藤】本日はよろしくお願いたいします。ところで比嘉社長の会社で、具体的に雇用されている外国人の方はどんな国の方ですか?

【比嘉社長】雇っているのはアルゼンチン、ペルー、ブラジル、ベトナム、中国の方たちです。

【伊藤】雇い始めたのは、実習生とかの制度をご利用されたのがきっかけですか?

【比嘉社長】いえ、そうではありません。丁度8年から9年前頃、リーマンショック等で景気が悪くて、その頃に外国人の方をハローワーク経由で一人雇ってみたのです。最初はペルーの方でした。その人が当社が気に入ってくれたのか、色々と声をかけてくれて、知合いを中心に引っ張ってきてくれたという経緯があります。一人入ったら芋づる式に増えた感じですね。

【伊藤】彼らは日系人が中心ですか?

【比嘉社長】日系人も多いけど、日本人と結婚している人もいます。日系人は、中には日本の苗字の方がいたりします。

【伊藤】最初に採用した際に、なにかご苦労されたことはありますか?

【比嘉社長】まあ何といっても言葉がはっきり通じなかったのが一番の苦労ですね。それから、何といっても彼らはのんびりしています。日本人はどちらかというとせっかちですが。たとえば朝、朝礼が始まって、それからすぐ仕事の現場に散っていくのですが、15分経ってものんびりしていて動こうとしないのです(笑)。

こんな感じでしたが、段々と慣れてきて、今はみんなこっちのペースで動いてくれるようになっています。

でも実際はそんなに苦労はしてないです。彼らの大半は日本人より真面目ですし。

日本人は採用活動をしても、なかなかいい人が見つからない。いい人がいてもなかなか入社してくれない。たとえ入社してくれても定着率が悪かったりする。特に若い日本人はすぐに辞めてしまいます。今いる日本人は年配の方ばっかりですよ。

だから外国人の方には、むしろハングリー精神があって助かっていると言えます。

日本人は残業とかしたがりませんが、平日はもちろんのこと、外国人の方は土曜日とかでも残業をお願いしたら喜んでやってくれます。

しかしながらクリスマスとかは、ピタッと休むので、その頃とても忙しいことが多いので困ることはありますが、それさえ目をつぶれば、本当に助かっています。

でも他の会社の話を聞くと、この近辺でもインドネシアの人とかの実習生も含め、様々な会社が外国人の方を雇用している様子ですが、なかには「とんでもないやつ雇っちゃって困ってる」という話も漏れ聞こえてきたりして、うちは恵まれていると感じています。

【伊藤】採用はハローワークからですか?

【比嘉社長】はい。ハローワークからが中心です。ただし来た人間が全部いいわけではありません。なかにはさっと辞めてしまう人もいます。60%~70%の定着率ですかね。

いい人間はみんなに好かれるので長続きしていますね。

【伊藤】先ほど、フォークリフトを運転している外国人の社員の方がいましたが、免許とかはこちらで取らせるのですか?

【比嘉社長】今は免許とかないと色々とうるさいのですぐ取らせています。

【伊藤】フォークリフトとか溶接とか、免許の取得の際、言葉で困ったりしたことはないですか?

【比嘉社長】今は溶接の試験でもフォークリフトでもベトナム語やポルトガル語、スペイン語で受験可能なので、その辺はあんまり苦労していません。

【伊藤】今はそういう時代なのですね。正に移民の国、アメリカ並みですね。私もアメリカに5年ほど住んだことがありますが、向こうの自動車免許のペーパー試験は事実上、どんな言葉でも受験可能なのです。私も日本語で受けたことを記憶しています。

【比嘉社長】あとうちでは、ものを書くときはカタカナで書くようになってきています。ほとんどの外国人社員はカタカナが読めますので。またなかにはまったく言葉ができない社員もいますが、外国人の中でも中心的存在がいて、その社員が通訳になってコミュニケーションをとっています。

【伊藤】御社の外国人社員はスペイン語、ポルトガル語、ベトナム語、中国語とその言葉が多岐にわたっていますが、その辺で支障はないですか?

【比嘉社長】ポルトガル語を話す人とスペイン語を話す人は何だか言葉が似てるみたいで、ちゃんとコミュニケーション取れてますよ、お互いに。あと外国人の実習生は、みんな向こうで一応日本語研修した上で来日、さらに一ヶ月間、日本で研修をしてから来るので、挨拶とかもしっかりしているし、それほど困ったことはないです。またそうした実習生には中間業者がついていて、たとえば「アパートの部屋が汚いので掃除するように言ってくれ」と頼むと、すぐに動いてくれます。まあ一人あたり毎月3万円位払ってますが。伊藤さんもこの仕事、やればいいのに。儲かりますよ。

【伊藤】そうですか。外国人実習生の組合ですか。考えたこともありませんでした。ちょっと考えてみようかな。

【比嘉社長】今月24日からまた3人、ベトナムから実習生がやって来ます。最初の1ヶ月は教えるのが大変ですが、うちの仕事はそんなに難しくないので、一ヶ月やると80%位使えるようになります。

彼らは、通常の労働時間だと、家賃とかの費用を引かれると手取り10万円位なのですが、それでもすごく喜びます。まあ残業もやっているから可能になっているのだとは思いますが、いくら国に仕送りしているのと聞くと10万円と言っています。残業代は別途ついたとしても、もらっているお金のほとんどを仕送りに回しているわけですから、真面目さが違いますね。

【伊藤】女性の外国人を雇われたことはありますか?

【比嘉社長】いいえ、ありません。当社には女性でもできる仕事はたくさんあるので、それも一つですね。

他に行けば、女性が溶接とか平気でやっています。介護の仕事よりいいかもしれませんよ、うちの仕事の方がよっぽど楽かもしれません。

【伊藤】この前、何かで読んだのですが、今、介護の現場では、この外国人実習生のうち、当初の3年の期間を満了し、さらに人によっては延長になる更なる2年を終了して、都合5年の期間を問題なく終わらせた実習生に限定し、その先は介護の現場なら引き続き実習生として日本に滞在可能となると聞きました。

ところで比嘉社長のところでは、実際に何人くらいの外国人を雇用されているのですか?

【比嘉社長】社員数は、つくば工場に13人、川崎の本社に35人で、そのうちつくばに外国人2名、こっちに20名です。

【伊藤】実習生の方は、ある程度規定とかあって決まっているのでしょうが、その他の、普通の社員の方の給料とかは、どうやって決めたり査定したりしているのですか?

【比嘉社長】当社の査定は実力主義です。うちの仕事は結果がわかりやすいのです。簡単に言えば、同じ時間に同じ成果物を100個作る社員と120個作る社員がいます。それに対して差をつけています。その査定の仕方で誰も文句はいいません。

【伊藤】当麻さん、女性の目線で、何か追加質問はありませんか?

【当麻】生活習慣や一般常識の差とかで困ったことはありませんか?

【比嘉社長】そうですね。トイレを汚したまま出てくるとか、結構気になることがあります。何度も注意するのですが、聞き入れてくれなくて、ある意味プライドが高いのか、あんまり注意をされすぎると最後には逆切れされることもよくあります。

でもお金に対してはハングリーなので、前日も10時まで残業していたのにもかかわらず、翌日も10時まで残業やらせて欲しいと頼まれたとか、嬉しい悲鳴が聞こえてきます。

【伊藤】比嘉社長の会社にも経営理念とかあると思いますが、経営者として、外国人社員に対して、「こんな想いが伝えきれていない」といった部分を感じられたことはありませんか?

【比嘉社長】経営理念はもちろんあります。その本質は「会社は誰のものでもなく社員みんなのものです」、「社員の幸せを追求するのが会社です」といった考え方が根底に流れています。

でも彼らは個人主義。会社のためという意識は少ないと思います。だから会社が成長すれば将来、お前のためになるのだから頑張れと言っても通じないことが多々あります。

そのひとつとして、消耗品の無駄遣いとかを唱えてもまず通じない。どこかで自分が楽できれば、自分さえ良ければ、他の社員は関係ない的な意識がある気がします。個人主義と言えるのか。他の人の面倒見てくれる人は少ないです。みんな自分のノルマを終えればそれでいいと感じている側面があります。

今はただ「仕事をきちんとやれば給与があがる」、それだけが共通認識のような気がします。

【伊藤】そうですか。難しいですね。

でももし、そうした点で、少しでも改善の余地があるなら、一度比嘉社長の、その社員の幸せを心から願う経営理念や、社長としての社員に対する想いとかを外国語のビデオ動画にして、外国人の社員の方にお見せしたらいかがですか?生意気な言い方になってしまいますが、おそらく今の段階では、比嘉社長のお考えやお気持ち、会社の理念や社風等が外国人の心に落とし込めていないような気がします。改善の余地があるなら一本、「外国人の社員の方に会社の理念や社風、存在意義、方針や考え方を外国語で伝えるビデオ」を制作をさせてください。

【比嘉社長】了解しました。それで少しでも会社が良くなるならお願いしようかな。自分でも振り返りになりそうだし。

【伊藤】ありがとうございます。

【比嘉社長】どういたしまして。それより、だれか一人、そうですねアルゼンチンの社員と話してから行かれますか?

【伊藤】お願いします。

===場所を変えて===

【比嘉社長】彼はアルゼンチン人で、日系二世。弟さんがつくばの工場で働いています。なんでも質問してください。

【伊藤】では当麻さん、インタビューアーとして質問お願いします。

【当麻】日本とアルゼンチンの文化の違いとか、どんなところで感じますか?

【アルゼンチン人社員】「文化???」

【比嘉社長】文化とか、難しい言葉はわかんないよ。

【伊藤】カルチャーとか?

【アルゼンチン人社員】カルチャー?

【伊藤】カルチャーは英語か…

【伊藤】リビングスタイル?

【伊藤】ライフ?

【アルゼンチン人社員】おー、ライフ。

全然違う。まず時間が違う。アルゼンチンはもっとゆっくり時間が過ぎる。

日本にいると自分の時間があんまりない。

むこうならたっぷり時間がある。アルゼンチンの方が一日が長く感じる。

【伊藤】どっちが好きですか?

【アルゼンチン人社員】どっちにもいいところと悪いところがあります。半々かな。

【伊藤】ありがとうございました。

 

【まとめ】

  • 外国人の労働者は極めて真面目で、ハングリーな点で、日本人よりはるかに雇用しやすい。
  • 外国人の労働者は、日本人より定着率が高い。
  • 外国人の労働者は個人主義で、会社のためとか、みんなで協力してとかは理解できないのが難点。

 

 

 

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