外国人労働者の社会保険加入と年金の脱退一時金について

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外国人雇用といえば何といっても、一番多くの外国人を雇用しているのは英会話スクールではないでしょうか。昨今の状況はあまり定かではありませんが、一昔前の英会話スクールでは、大手英会話スクールの外国人採用のための英語版リクルートサイトであっても、社会保険完備とうたっているスクールは稀でした。その代わりに、民間の旅行傷害保険や、外国人向けの民間の医療保険制度のような仕組みに加入し、社会保険への加入は避けていたスクールが大半でした。

一部の超大手スクールは、常勤の講師には社会保険の加入を行っていましたが、常勤の社員の4分の3以上働いていなければ社会保険加入の義務はないという規定があるため、それを上手く適用(教えている時間を常勤の正社員等の人間の4分の3以下に抑えること)することにより、社会保険加入を行わなかった、またはあえて避けていたスクールが大半を占めていました。

昨今、社会保険未加入に対する社会的風潮は大きく変化してきたので、こうしたスクールは数を減らしたと思います。しかしながらこうした外国人労働者に社会保険を加入させない動きというのは、働き手である外国人の英会話講師も、この社会保険には加入したがらなかったという現実があったからこそ、ほとんどのケースは暗黙のうちの相互承諾のうえ、成り立ちえたものだったのです。

社会保険とは、①健康保険、②厚生年金、③雇用保険、④労災保険、⑤介護保険の5つのセットから構成されています。ご存知の通り、学食や社員食堂のアラカルトメニューで、鯖の煮つけとハムエッグとマカロニサラダはいるけど、牡蠣フライとエビチャーハンは要らないみたいに、このどれかひとつかふたつだけ加入するという選択肢は与えられておりません。加入すればすべてがセットでついてきます。しかしながら外国人労働者の方にとっては、社会保険に加入することにより、当面の手取額が大きく減ることになります。また、辞めたら帰国を考えている外国人にとって、雇用保険はほとんど無意味です(雇用保険料の労働者負担分は1000分の4とか5とかでわずかではありますが)。

また老後を日本で過ごすつもりのない外国人にとっては介護保険など必要ありません。そしてもちろん、その外国人労働者は厚生年金にも加入することになります。厚生年金は事業主がその2分の1を負担するので、通常は従業員にとって大きな福利厚生、ベネフィットになります。しかし外国人の場合は必ずしもそうとは言えません。

なぜなら、いつかは本国に帰国する外国人にとっては、必ずしもその恩恵を満額享受できるわけではないからです。ご存知の通り日本の厚生年金制度は、国民年金相当部分の老齢基礎年金部分と厚生年金部分の二階建てになっています。そしてこの老齢基礎年金部分の加入期間は通算で300ヶ月、25年を超えていなければなりません。

厚生年金部分は、加入期間が25年未満であっても、その加入者の支払期間や支払金額に応じて年金が支払われますが、老齢基礎年金受給の要件は通算300ヶ月、25年です。この25年という受給要件を兼ね備えるまで日本に滞在する覚悟でいる外国人など、ほとんど聞いたことがありません。しかしたとえ1年で帰国する予定の外国人労働者であっても、2ヶ月以上常勤で働く人には社会保険加入義務が生じます。

こうした矛盾を補うために、国民年金にも厚生年金にも『脱退一時金』という制度があります。6ヶ月以上年金を納付し続けた外国人は、その支払った金額の約2分の1を受け取ることができるという制度です。ただしこの脱会一時金を受け取るには、一度国外に出てから2年以内という縛りがあります。また厚生年金の脱退一時金からは20.42%の源泉税が差し引かれます。手続きはそれほど難しくなく、「脱会一時金請求書」(外国語版あり)に必要事項を記入の上、パスポートのコピーや年金手帳、銀行預金口座等を添付し所定の住所に郵送するだけです。外国送金であっても「送金手数料」はかかりません。

またドイツ、イギリス、韓国、アメリカ、ベルギー、フランス、カナダ、オーストラリア、オランダ、チェコ、スペイン、アイルランド、ブラジル、スイス、ハンガリー、インドといった国とは社会保障協定を締結しております。現在、その社会保障協定の締結準備中なのが、イタリア、ルクセンブルグ、フィリピンです。

この社会保障協定を結んでいる国の国民が日本に来て働いた場合、日本で加入していた年金を自国の年金と合算できます。ただし脱退一時金を請求した場合はその限りではありません。

 

【まとめ】

  • 外国人労働者であっても、常勤の場合、社会保険加入義務があります。
  • 外国人労働者が加入した年金は、その加入期間が6ヶ月以上であるならば、脱退一時金(支払い金額の約半額)が支給されます。
  • 社会保障協定を締結している16ヶ国とは、それぞれの国で支払った年金を合算可能です。

 

【参考サイト】

http://www.nenkin.go.jp/service/kaigaikyoju/shaho-kyotei/kyotei-gaiyou/20131220-02.html

http://www.nenkin.go.jp/service/kaigaikyoju/shaho-kyotei/kyotei-gaiyou/20131220-02.html


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