労働災害数増加

厚生労働省労働者死傷病報告によると、平成22年からモニタリングがはじまった外国人労働者の労働災害数は年々増加傾向にあり、平成27~28年だけでも、外国人労働者被害数は平成27年が年間2,005件、平成28年が年間2,211件と報告が上がっている。また調べによると、この2,000件超えした被災件数のうちそれぞれ498件、496件を技能実習生が占めていることがわかった。

そして残念なことに平成29年に入っても実習生が被災するケースは後を絶たず、死亡事故も2件出てしまっている。

モニタリングの結果、わかってきた傾向として

  • 被災の原因には、墜落・転落、飛来・落下、崩壊・倒壊、激突、切れ・こすれ、はさまれ・巻き込まれ、感電・火災、高温・低温の物との接触などがある。そしてこの中でも「はさまれ・巻き込まれ」が今年は多く、次には激突が並ぶ。
  • また直接的な原因にはならないかも知れないが、これ等事故に遭遇する実習生の多くは就労開始1年未満の実習生であることが指摘されている。つまり日本語の理解度などが低いのに、判っていると判断されて不慣れな業務に従事した結果、事故に巻き込まれることが多いと推測される。

各受け入れ先企業に安全管理者、衛生管理者、または安全衛生推進者が存在していても、来日して日が浅い実習生の多くは、もともと「安全衛生に対する意識」が極めて低い為、思わぬ事故につながっていると解析。その為、厚生労働省は、最初の1年はとにかく重点的に基本的な労働災害防止対策の徹底、労働災害の標識・掲示、労働災害防止のための日本語教育を徹底することを奨めている。

また教育だけにとどまらず、教育内容が定着した後もチェックシートなどを用いて、安全管理を徹底していくことを推奨しており、それでも問題発生が懸念される企業に対しては機関の指導を入れる方向で概ね、制度は固まった。

近年、全国に17万人弱の外国人技能実習生が技能実習の名のもとに就労しているので、分母が増えれば、分子の数も必然的に増えてくるのは必至ではあるものの、被災数はできるだけ低く抑えたいもの。その為には、実習生自身の安全・衛生に関する意識を高めるのと同時に、受け入れ企業側も実習生を日本人従業員と同等に、きめの細かい指導や教育が必要不可欠だ。

高齢化していく農業の人手不足解消

技術の伝達による国際貢献に加え、県内農家の労働力を確保して経営安定化を図るため、JA おきなわはベトナムから技能実習生を受け入れた。

技能実習生制度はそもそも「技術の伝達による国際貢献に」と名目上あるが、多くの受け入れ先の本音としては「人手不足を背景に外国人実習生の受け入れを希望」といった実態がある。

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正社員にしたいのに

技能実習制度を活用し、ベトナムから数名採用してみたところ非常に覚えも良く、丁寧な作業をしてくれる実習生がいたので正規雇用したいと思ったら、制度上、なかなか上手くいかなくて断念した。よくそんな話を耳にします。

人柄も良く、仕事は正確かつ丁寧。給料もさほど高くもない。与えられたタスクを的確にこなすだけではなく、自身から進んで難しいことにもチャレンジしていく精神を持つ実習生。技能実習期間満了だからと言って手放すのは惜しいと思うのはごく自然なことかもしれません。優秀な実習生ならば、3年~5年も経過すれば必要な技術が身につくだけではなく、今後派遣されてくる実習生を効率よく教えることもできるかもしれません。しかし、現行では実習期間が終わった実習生は帰国を余儀なくされ、実習生として再度戻ることは許されていません。

技能実習生が入国する際は、入国の時点で雇用契約を結び、在留資格は企業単独型1または団体管理型1という「技能実習生」用の枠での在留資格が付与されます。ただし、資格を更新していくには決まった期間で日本語、そして技術を習得し、試験を受けなくてはならず、更新申請をしても企業単独型2、団体管理型2へ移行されるだけです。この更新は、在留資格の有効期限が延長になるわけではありません。実習生の在留期間はあくまでも通しで3年。(ただし建設分野のように最大5年になるケースもあります)

では何故元実習生だった人が正規雇用され、在留資格を得ているのでしょう?

現時点の日本の入国管理法の下でも、必ずという確約はありませんが、実習生が実習期間満了後、日本に合法的に居残る方法もあります。そのひとつとしてあげられるのは、実習生としての在留資格が切れるまでに、日本の専門学校または大学に入学することが求められます。彼らは卒業まで学生ビザにて在留、改めて実習先だった職場または類似した職場にパート雇用(とはいっても学生ビザに許されている週28時間以内)の形式で就職することができます。そしてその専門学校や大学を卒業後、その会社に就職してしまえば、労働ビザに切り替わるので自身の国籍を放棄することなく滞在することが可能になります。

しかし、留学をするには「時間」、および「金銭面」で彼らを圧迫するだけではなく、彼らを正式雇用したいと思った側としても、留学費までサポートすることまではなかなかできないのが現実的なところです。実習生に来日する際、借金があったらなおさらです。

法を犯したくはないが、どうしても日本に残りたい。

僅かではありますがそんな声も聞こえてくることがあります。この場合、母国へ戻ることを諦め「難民」になる道を選択すること等、その人に応じてまったく道がないわけではありませんが、この方法も決して100%ではありません。年々増え続ける不法滞在や、失踪、雇用期間満了前の身勝手な帰国などが足をひっぱり、様々な理由で長期在留への道が閉ざされてきています。ここ数年の人材不足が実習生の受け入れの突破口にはなりましたが、まだまだ課題があります。少しでも早く、制度が改善され、長期滞在することや、転職、待遇等が変わっていくことを願うばかりです。

ベトナム人から見た日本人  2of2

前回に引き続き、ベトナム在住のライターが2017年2月24日に書いた記事「ベトナム人の目に日本人はどう映る?日本人の良いとこ悪いとこ」の後半、「日本人の悪いところ」としてあげられていた5項目につき書いてみたいと思います。いずれも日本人からみれば当然の事と思われる常識が、実は彼らには理解されていないようです。

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シンガポールで日本食を。

健康志向が世界中で強くなったことでブームを博している日本食。様々な国で「ジャパニーズレストラン」を見かけるようになりました。しかし、経営者はさておき、シェフを含む従業員のほとんどが日本人ではないことが多々あります。今回はそんな“雇用許可”という壁にぶち当たりながらもシンガポールでお店を出す場合の例をあげたく思います。

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就職難からの技能実習生生活

ベトナムでは、短期大学や大学卒業生の就職難が問題になっている。学歴をいかに積み上げても状況はそう簡単には変わらない。そういった背景から、学歴よりも手に職をつけようと専門学校へ進む人の数は少なくない。

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ベトナム人技能実習生との意思疎通の難しさ

先日、全社員53名のうち外国人の方を17名雇用している川崎の製造業にお邪魔させていただきました。鉄のパレット等を組み立てている京浜スチール工業(株)という会社です。同社の比嘉社長とはロータリークラブで懇意にさせていただいていて、その関係でベトナム人実習生の方にお昼休みに取材をさせていただきました。

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雇用市場にパラダイムシフト

『外国人技能実習生を雇用したものの、意思疎通にその労力の大半を費やしてしまう』、数年前、製造業の経営者仲間から聞いた愚痴です。その時感じたのは、「外国人実習生を雇わなくても数多くの失業中の人がいるのに」でした。しかしその後、雇用をめぐる環境は一変し、まわりでは外国人実習生を雇用している会社がどんどん増えていることに驚かされます。その根底には、団塊の世代の引退、震災復興景気やオリンピック需要、少子化等によってもたらされた有効求人倍率1.5超えという中小企業泣かせの慢性的人手不足があります。

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